光

星の輝く空の下を、月明かりが照らす蒼さの中を、一人で旅していた。

囚われて、術をかけられて、普通の生活から切り離されてしまったあの日から、ずっと、夜の時間を生きてきた。

長い長い、明けることのない夜――

もう一度、太陽の暖かさを感じさせてくれたのは金色の光。

星のきらめきとも、月の明るさとも、太陽の眩しさとも違う、黄金――

闇の中に一人でいる夢を見て目覚めた後、その顔を見たくなったのは必然だったのかもしれない。

そして、その人は、冷えた身体を優しく抱きしめて、温めてくれた。

この腕の中で、このぬくもりに包まれて、眠ることができる倖せ……

身体に何かが触れて、は目を覚ました。

「……さんぞ……?」

ぼんやりした頭と、まだ開けられない目。

手探りで探したけれど、期待した感触はそこにはなった。
だるさを感じる身体で寝返りをうち、重い瞼を必死で持ち上げる。

カーテン越しとはいえ眩しい朝の光の中、その人の姿を見つけた。

男の人にしては白い肌が、濡れた金糸の髪が、紫水晶の瞳が、光よりも眩しい。

それは、長く重い闇から、数奇な境遇から、自分を解放してくれた輝き――

「もう少し寝てろ」

低い美声の穏やかな響き。

小さく頷いて、は目を閉じ、倖せな気分のまま、再び眠りに落ちていった。

その中で見た夢は、四色の瞳と自分を乗せて、荒野を走るジープ。

この負の波動に蝕まれた桃源郷を西に走る一筋の光明。

end

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